物語をはじめる前に 原作 木村 恭子
昔ピーコという名前の小鳥を飼っていました。
ベランダに置いたカゴの中で、晴れた日には白銀の羽を鏡の前で毛づくろいしたり、夕暮れどきになると遠くをみて物思いにふけるような、どこか人間ぽさのある不思議な文鳥でした。 続きを読む
そんなピーコがある朝カゴの中から姿を消してしまったのです。小さい頃の私にとっては大事件でした。何より大切にしていた宝物を失くしてしまったのですから。
小さなカゴの中で精一杯がんばっていたピーコを思いだすと、私自身いろんなことをおしえられたような気がします。
ピーコがカゴの隙間から世界をのぞいているとき、実は私もみえないカゴの中に捕らえられているような気がしました。
私たちは日常生活の中で、「時間」や「常識」、~しなければならないという「義務感」などに、無意識のうちにとらわれているように思います。
そんな観念の鎖を解くカギはいつも自分の手の中にあるのだと、ピーコが大空へと飛び立って行った時に思いました。
人生の中で幾度となくぶつかる壁がどんなに分厚くたちはだかっても、それを乗り越えることも、扉が自然に開くのを待つことも、くぐりぬけることも、いつも“その時”になれば自ずと道を選び前へすすんでゆく、そんな強さをピーコを通じて感じました。
ピーコとともに私も一歩ずつ前進しているのかもしれません。
「今この時」から、たくさんの幸せをキャッチするためにも、この物語のピーコのように、いつも子供の頃のハートを忘れずに生きてゆければと思っています。
目に映るもの、聴こえてくるものすべてが、新鮮でクリアであるように。
ピーコは、自由を司る幸せの青い鳥です。きっとみなさんの心の中を自由自在に飛びまわりたいと思ってるに違いありません。
これから何がはじまるのか、ピーコと一緒に、ワクワクするような冒険をどうぞ楽しんでくださいね。
作品のあらすじ
何不自由なく鳥カゴに飼われている「ピーコ」にとっての一つの夢は、あの太陽に輝く青空の下を思いっきり自由に飛んでみたいということでした。そして、お陽様に会いたいということでした。 続きを読む
「鳥カゴ」をとおしてみる外の世界は、とても素晴らしく、みんな楽しく幸せな生活をしているように思えたのです。
とうとうそのチャンスがやって釆ました。「ピーコ」は大空高く飛び出したのです。
最初に出会ったちょっとヤクザなカラスのカンタローは、「ピーコ」の友達となり、人生の先輩としてエサのあさり方等を伝授してくれます。
「ピーコ」を最高のゴチソウと考えているのら猫のノラは、なんとしても「ピーコ」を食べようと、執拗に狙ってきます。
そんな旅の中で、「ピーコ」はいろいろな生き物に出会います。
希望を失っている老馬、気どりやさんのバラの花、ささやかな夢を持っているオーム君、勉強こそ最高と思っているモグラ博士、等々です。
「ピーコ」は一緒になって、愛すべき動物達に協力したり、問題を解決しようと努力します。
出会いを通して、誰もが精一杯、悩みを抱えながら、ささやかな夢を持って頑張って生きていることが、だんだんとわかってきます。
「夢を持つことは、なんて素晴らしいことなんだろう」と「ピーコ」は思います。「いつか、高く高く飛んでお陽様に会いに行こう」とあらためて決心するのです。
さて、「ピーコ」は本当にお陽様に会えるのでしょうか。
のら猫のノラの夢はかなうのでしょうか。(かなうと、ドラマは終わりなのですが…)
カラスのカンタローの夢はいったい何なのでしょう。
ドラマはミステリアスに楽しく展開していきます。